20231010

WHITE ALBUM2』のテキストを読んでいると落ち着くときがある。丸戸のもつまともであろうとする志向性がそうさせるのだ。上の文章は『WHITE ALBUM2』の「不倶戴天の君へ」でうつ病になった春希くんが寛解して、雪菜にどうしてよくなったのか聞かれて答えたセリフだ。主人公のトラウマをヒロインとの愛ではなく時間が解決したという筋なのだが、その他の恋愛ADVの名作と比較してもきわめてまっとうで普通の結論である。

丸戸は「共依存」に陥ることに対してきわめて禁欲的だ。かずさとヨーロッパに駆け落ちするかずさTrueルートですら、かずさに、春希がコンサートに来ないという共通ルートの試練をもう一度繰り返させる。そして、春希の言葉なしに信じることができるか試すのだ。それにクリアしてはじめて春希とヨーロッパに高飛びするという順序になっている。人間、わざわざ気持ちを言葉で伝えられてもなかなか信じられないのに、「人」を信じるなんて本当に難しいよ? でもそれができないと寛解にはたどり着けないってのが丸戸の考えなんだろうな。僕もKeyとか好きだから、「それが正しいんだろうけど、それでも……。」とも思ったりもするけど、やっぱり「正しいことにはときどき立ち返らないといけない」、とも思う。