20230907

国会図書館行って昔の漫画ホットミルクを読む

 

80年代末の創刊当時の漫画ホットミルク(今あるホットミルクとは別物)のグラビア、未成年のモデルの陰部がスケスケでびっくりした。今では当然許されないだろう(ここで書くことも憚られる)。

 

さて、今回のお目当ては漫画ホットミルク永山薫伊藤剛が中心になって連載していた「コミックジャンキーズ」だ。

 

2000年前後当時のエロ漫画を真剣に論じた珠玉の評論集。

 

 

元々はメガストアとかばんがいちの増刊扱いで出ていたのだが、分厚さを保ったままホットミルクの誌面に移籍し、増刊版5冊、ホットミルク掲載分15冊(検証なし)出ている。「陵辱」「コスプレ」などといったテーマごとの特集に漫画家や編集者のインタビュー、最新の漫画100冊レビュー*1と非常に力が入っている。こんなの毎月作るのはめちゃくちゃ大変だろう。

 

米倉けんご伊藤剛永山薫との対談で、自分が原画を担当した加奈をディスるとこからはじめて、マルチを猛烈に批判してて笑った。嫌いなキャラでもこだわってるうちにいいところが見えてくるが、マルチだけは嫌いなままなのだそうだ。手を顔の前に持ってきてるのがウザいんだって……。

これのことか?

しまいには、新井英樹*2褒め始めるし……。

 

ヨネケンがちょっと苦手な原因がわかった気がする。感性が僕とは決定的に合わない。

 

ヨネケン、オタクに嫌われてるらしい。服装がオシャレだからじゃないかって本人は思ってるみたいだけど。ああそうだよ!俺も嫌いだよ!だいたいお前のその手(本人の手の写真が載ってた)、なんだよ。ネイルしてんじゃねえよ!

売り言葉に買い言葉でついキレてしまったが、僕はヨネケンの反グレたちが出てくるエロ漫画はそれなりに好きだ。さっきはちょっと苦手とか言ったけど、それは同じ快楽天の夏蜜柑とかOKAMAとかに比較してという話であって好きな方ではある。それに、オシャレな反グレの群像劇やってるのが一番ヨネケンの良さを引き出しているような気がする。なんとか専科ってやつより『イエローハーツ』の方がはるかにエロい感じするしね。

 

ヨネケンが自己愛とかリビドーってキーワードで自分の性癖を説明してる箇所は時代を感じた。ゼロ研の相方のホリィ・センは「ゼロ年代('95〜'11)は精神分析的な想像力が生きていた時代なんだ」という趣旨のことをよく言っているがむべなるかなという感じだ。

 

ブリッコを大塚英志から引き継ぎ、ホットミルク初代編集長になった斎藤O子のインタビューも非常に貴重なインタビューだった。コミケで青田買いしたりハガキの投書からスカウトしたり、そうした才能をガンガン発掘していく編集方針が、鬼魔あづさ*3のような才能を生み出したんだと知れてよかった。大塚英志に作家を引き抜かれて必要に迫られて必死だったらしい。ブリッコ時代の岡崎京子発掘話もちらりと出てくる。

 

まだ全部読み切れてないが、これからちゃんと読み切りたい。

 

漫トロも「コミックジャンキーズ」を見習って、毎月新刊のレビューを出すべきなんじゃないだろうか。僕は不出来な会員で、いつも締切に迫られないと新刊を読まないのだが、そういう機会があるなら否が応でも読まざるを得なくなる。その方がランキングの質も絶対に上がる。新入生に課すのは大変だから、2回生以上ひとりひとりに毎月の新刊レビューを義務付けたらどうか。

*1:伊藤剛のレビューがいつもキモくて好きだった

*2:僕の嫌いな漫画家。

*3:他は大暮維人とか唯登詩樹とか天竺浪人とか村田蓮爾の名前が挙げられていた