いたって当たり前な話なのだが。
苦痛は分配されていない。苦しい家庭環境で育った人が幸せになるのはそうでない人に比べて段違いに難しい。僕はその点幸福だったので、ときどきすごく申し訳なくなることがある。
こんな風に不幸ぶっていていいんだろうか。世の中にはもっと不幸な人なんていくらでもいる。僕は目の前のことをなんとか頑張れば生活は保障されている。友達もいる。
たしかに嫌なことはある。
たとえば、仕事はできるようになる気がしない。
一生苦しみ続けるだろう。
たとえば、この先もう恋人はできる気がしない。
恋愛で幸せはつかめそうにない。
僕にはその力も、資格もない。
結婚にこぎつけた人を一生恨み続けるだろう。
身勝手なことだが、こういう苦しみを味わっていない人が憎い。彼らだって努力したと思う。辛い経験を乗り越えたこともあっただろう。でもその努力や辛い経験すら僕には羨ましい。頑張ってこなかったということが、僕のすべてを決めている。自分を高めることを純粋に出来る人が、憎くて憎くて仕方がない。そんな自分をクズだと思った。