20240126

「三次元の女」をディスり倒し「二次元の女にこそ愛がある」と説いた本田透春日みかげになり結婚してしまった、という寓話を引くまでもなく、性欲は強いのに、二次元の女や声優やアイドルにばかりに愛を注いでそれでいいと今は自分を慰めているオタク君も、大体の場合は結局最後には結婚していく。それができなければ、満たされない気持ちを抱えながら一生を生きていくしかない。いや、性欲が満たされないだけならいいかもしれない。怖いのは仲間たちに置いてかれることだ。そうなったらわかりあえる友達はもういない。ライフステージの変化が人に与える影響は大きい。家庭を作った人たちはだんだん自分とは違う言葉を話すようになり、自分だけがいつまでも今の場所に留まり続ける。縛られると言ってもいいかもしれない。それが僕は何よりも怖い。

 

若い僕たちは性欲が満たされないことばかり不満を抱きがちだ。けど、実際のところ問題なのは、「ここ」に留まり続けることで問題になるのは、性欲の充足なんかじゃない。居場所の問題なのだ。どこかで「ここ」を出る決心をしなければ、いずれは何もかも手遅れになる。仮に結婚したとして離婚するかもしれない。でも人と深く向き合い傷ついた経験は次の人間関係を築くのにも役に立つ。「経験」がなければ、「経験」を経た人とは壁ができる。「経験」を経ている人の方が多いのだ。生き残りを考えるときにこの事実は無視できない。

 

僕は怖れる必要のないものを怖れているのかもしれない。ああ、でも……。