アフタヌーン掲載(91/09〜93/04) 四季賞作品など読切 メモ

91/09

守延奈津『神隠し』

神隠しにあう自身の家系の謎を追うSFサスペンス。おもろい。


佐藤由男『解体男』

何でも物を解体する「解体病」の男。小さい頃から癇癪を起こすと解体する癖がついてたらしい。逆玉で建設会社の跡取りの切符をつかみ、ビル建設の責任者になる。生活に満足してるはずなのに、ビル解体の衝動が抑えられない。ところが、男遊びに自分を利用している彼女と別れる決心をつけた途端解体をやめる。解体症は男の無意識の不満を表現してもいたわけである。ところがどうしても解体癖は治らず、最後には自動車解体の仕事に就いて終わる。「だから今はなんとかやってるのサ」というセリフに、人生の唯一性を僕は感じる。人間は気質に縛られるだけではなく身体性にも縛られている。解体症はその人間を縛るものとしての身体性を表現しているわけだ。その束縛はそのまま人の固有の性質になって多様な生の可能性になる。


91/10

下条幸子『口をアングリー』

自殺する男をビル清掃の男が間一髪のところで助けて、雑技団みたいと褒められる。かなり退屈。


92/01

椎名品夫『眉白町』

纏足愛好症のおっさんの話。単行本はプレミア化してるみたいね。文句なくおもろいけど、趣味ではないかなー。


92/02

竹内章『厚生省ガール』

少子化問題を解決するために女たちに催眠効果つきのエロビデオを見せて子供を産むよう洗脳する漫画。びっくりするほどおもんない。本当に四季大賞か?


小田浩志『Love Letter』

命懸けでプロポーズをする雲人との出会いから男はラブレターを破いて恋人と別れ、小説の仕事に邁進する決意を述べる。人物描写が浅いと思う。


澤田賢二『失くした1/2』

澤田賢二初めて読んだけど、すげ〜〜〜!!!鳥肌立ったよ。ツッパってるキヨミとゾクに憧れるユウジの恋愛?友情?話で、ゾクに入ったユウジは抗争で死んじゃって、っていう話自体は陳腐なんだけど、詩的なセンスがハンパじゃない。澤田賢二は『鍍乱綺羅威挫婀』でのシンナー描写が特に注目されてるみたいだけど、僕はそれより先に詩に心を打たれたね。


箱谷ユヒサ『スナックワルシャワの夜は更けて』

失恋でヤケ酒、ワンナイト、記憶忘れる、翌週また同じ男とワンナイト、というオチ。ちょっとおもろかった。


92/04

沖田次雄『レンタルビデオニュース』

謎のビデオ屋で借りたビデオから女が出てきてセックスにふける。期日を超過してしまって悪夢の中に閉じ込められる。普通のホラーだね。


澤田賢二『十五歳』

宮川は後輩に不良になりたいと言われ、それを止める。でも不良の世界に入ってきたその後輩を助ける。抗争に警察、不良が人間扱いされない現実を後輩は知るが、それでも後輩は結局髪を染め、それを宮川に見せる。「でーんでん似合わねーよ タコっ」と笑顔を見せる。現実を知りながらそれでも不良になるって決めるとこがいいよね。


92/06

げーださとし『こんな奴ら』

非モテくんがかわいい女と付き合うご都合主義作品。イケメンだけどクズな彼氏に不器用ながら「久美子は俺がもらう」と啖呵を切る。これを読んでる1992年の非モテに想いを馳せることができた。


沖田次雄『ワンナイトプログラマー

レンタルビデオニュースの時と作風変わらんな。書き込みがすごいだけ。

 

92/09*1
松永豊和『きりんぐぱらのいあ』

いじめられっ子の藤岡が幸福な生活を送る元いじめっ子に復讐する話。嫁の尻にコンパスで復讐の文字を書いたりセンスがちょっと変なんだよな。この人も後に連載描いててちょっと人気あるっぽい。

 

92/10
楠岡大悟『少年少女』

淡白な青春恋愛もの。変なメガネを貸してくる女が顔を伏せると耳が良くなる設定の主人公に言いよる。


92/12

山本由広『もう天使じゃない』

悪徳採血車による平面人間にされた男。元カノに匿われるが襲って怒らせてしまい切り裂かれる。元カノはやっぱり好きだと自覚して元に戻る方法を模索しようとする。ひでシスさんを思い出す作風(特に平面人間が切り刻まれたりするあたり)。


93/01

瀬田勝『な・か・む・ら』

いじめられっ子中村くんと仲良くしてあげる女。ムカついて中村くんを殴った男は屋上から飛び降りて死んでしまう。怖くなった女は中村くんを無視する。ラブレターも捨てる。中村くんを街で見かけた女は直後、中村くんに殺される。捨てた恨みを忘れていなかったのだった。うーん微妙。特に感想なし。


橋本雄一郎『回帰線』

悪役が更生する話。恩人の女の子が芸能人になるも、ひさびさに会っても気づかれないばかりか握手した手を汚らしそうに拭かれてしまう。それでも没落した元ヒーローの言葉に従いフランスに向けて旅立つのだった。普通。心の支えにしたアイドルにキモがられても旅立つところはよかったけどねえ。


93/02

佐藤伊智郎『黄昏の魔手』

勤続三十年。疲れ果てた男は時々肩を叩く手の幻覚を感じる。陰影を基調とした画面の構成と躍動感あふれる人物描写。漫画のうまさを感じる。マジでうまいし非凡だけど僕の趣味ちゃうねんなあ。今敏を思い出す作風だ。


93/03

塩田哲也『ザ・クレイジー・ムーン』

アメリカのドラマ風のコメディアクション劇。つまらん。


イワフチヤスナリ『ハードレイン』

目が一時的に見えなくなった人妻のお手伝いをする少年。家に乱入したヤクザから救おうとするも、結局夫が現れてすべてを解決してしまう。人妻はエロいかもしれんが、話が普通すぎる。

*1:92/07は読めなかった