これまでずっと「未熟な若輩者」のキャラでやってきたと思う。
同い年で熟練してる人なんていくらでもいるのに、そうなれなかった自分が情けない。
要は「何者かになりたい」という話なのだが、こんなこと、いつまで許されるんだろうか。ずっとこんなことを繰り返していていいんだろうか。
そんなことばかり考えてしまう。
ずっとこんなこと繰り返して
さよならのない旅をする
「風の辿り着く場所」の歌詞だ。真琴の名前、「沢渡真琴」は、本人の名前じゃない。そのことに大きな意味を見出してしまう。
祐一に想われた本物の「沢渡真琴」。狐だった真琴は、祐一に想われる存在になりたかったんじゃないだろうか。大切な誰かにとって価値のある存在になりたかったんじゃないだろうか。
真琴は自分の望みもわからないまま、挫折を繰り返す。望みが叶っても、それに気づかない。あるいは、すでにものを考えられる状態ではなくなっていて……。
世界中にはどんな思いも叶う日が来る
そう歌うED。
一瞬、信じかける。
でも、本当にそんな日は来るんだろうか。
僕は本当は真琴じゃない。
そんなことはもちろんわかっている。
そんな僕にも、来るんだろうか……。