20231223

少し前に自分のとっての理想の少女像の話をした。

nakanoazusa.hatenablog.com

だが、今の僕の「理想の少女像」はKey作品や「イリヤの空」「半月」などの作品の影響下で形成された像といってよい。もっと以前、高校生になる以前はどんな理想像をもっていただろうか。

 

僕は中高は男子校で、ほとんどを三次元の女性ではなく二次元の女性とともに時間を過ごしてきた。僕にとってつねに身近なのは二次元の女性の方だった。

ナミ(『ONE PIECE』)

御坂美琴(『とある科学の超電磁砲』)

結城明日奈(『ソードアート・オンライン』)

シャルロット・デュノア(『インフィニット・ストラトス』)

さて、二次元の女性たちと結ばれる妄想を日々繰り返していた一方で、現実の女性のことを思慕することがなかったわけではない。僕の小学校時代の友人の妹、Kちゃんのことだ。

Kちゃんはかわいくて誰にでも優しくて、モテる女性だった。僕の顔の好みの傾向は最初、このKちゃんによって形成された。小学校のころ、母親や父親がKちゃんの容姿を誉めそやしていて、何もわかっていなかった当時の僕はああこれがかわいい人なんだと学習したのだと思う。中学で男子校に入り現実の女性との接点が断たれるといよいよKちゃんは理想化されていった。


覚えているのは僕が高1のとき、最後にKちゃんを見た時だ。一瞬しか見られなかったが、あまりにもかわいかった。こんなかわいい人がいるんだと思った。それから数年間Kちゃんの顔が頭から離れなかった。10年くらいKちゃんにとらわれていたのかな。

 

ところが、ある日母親からKちゃんに彼氏ができたことを知らされる。優しくて優秀な男なのだという。ショックだった。そのときからかもしれない。僕が二次元の女性に恋することをやめたのは。人を好きになるのが怖くなったのは。

 

先に挙げた僕が恋したキャラクターたち(ナミ、美琴、アスナ、シャル)も皆、Kちゃんみたいに誰もが憧れる女性だった。すなわち、かわいくて優しくてまっとうでまっすぐで、誰もがこの人に好きになってもらえたら幸せだろうなと思うような女性。でもそんな彼女たちも、結局は、力があり人を助けられる男に恋していく。僕はそんな男では決してなかった。なりえる可能性もなかった。人を好きになるとその現実と向き合わなきゃいけなくなる。自分の怠惰と無能さを突き付けられることになる。だから人を好きになることが怖くなった。二次元の女性であっても、恋することが怖くなった。

 

だから、イリヤ(『イリヤの空、UFOの夏』)だったのだ。里香(『半分の月がのぼる空』)だったのだ。イリヤは浅羽のような普通の男の子を愛した。里香は裕一のような不器用な男の子を愛した。僕にはこれしかない。そう思った。そして、美琴やKちゃんのような女性に惹かれることはなくなった。でも、自分なら裕一や浅羽のようになれると思えるのは気分が高揚した一瞬だけで、本当の僕はそれにも劣る存在だった。だからそれに気づくのが怖くて、イリヤや里香を好きになることもなかった。そして人を好きになることがどんどん難しくなっていた。

 

あれから八年が経つ。結論からいって、どんなに逃げても、僕は人を恋することをやめられなかった。でも、八年間の怠惰を取り返せるはずもなく。今も僕は、強くもなければ*1、優しくもない*2。それなのに、あの頃と何も変わっていないことに気づかずに、自分は変わったとばかり思い込んでまた失敗して……。今更になってこれまでぬくぬくと生きてきた代償を支払わされようとしている。もう悩むのも頑張るのも疲れたんだけどな。

*1:身体も強くないけど、経済的にも強い人間にはなれなかった。仕事をする力があまりにも欠如しているままここまで来てしまった

*2:いつも配慮に欠ける発言で人を傷つけてしまう。迷惑をかけてしまう。