二日前書いたように、高校生の頃の僕は女性への欲望が表に出ないように必死で自分の心の中をのぞかないように、「ストライクウィッチーズのオタク」というアイデンティティで覆い隠していた。それでも、本当は触れたくて触れたくて、仕方なかった。
モテないことに悩む男性は往々にして友達も十分にいないことが多い。繋がりへの欲求が性欲が満たされない不満と混ざり合って、巨大な欲望となって女性に向かう。僕もご多分に漏れず友達がいなかった。
クラスでは人の会話がいつも怖くて、自分の悪口言ってるんじゃないかとそんなことばかり気にして、耐えられなくて休み時間*1の間廊下に出てTwitterをやっていた。一日中Twitterをやっていたわけだが、そこでも友達はいなかった*2。僕はTwitterにも居場所がなかったのにタイムラインにいる人は現実世界にも友達がいそうで、そんな一面がうかがえるツイートを見ると気が狂いそうだった。恋人以前に、仲のいい同世代の人がいないことがとにかく問題だった。
いや、友達はいなかったというのは嘘だ。少数ながら僕と喋ってくれた人たちはいた。だけど、そいつらは僕より大事な友達がいくらでもいるのに、僕にとってそいつらが大事になりすぎていたこと、その「差」が辛かった。自分という存在の価値が他の人より劣っていると思えてしかたなかった。だから、誰かにとっての一番になりたかった。恋愛に憧れていたのもきっとそのせいもあるだろう。
でも普段はそんな湧き上がる欲望や劣等感が溢れそうになるのを見ないように見ないように必死で取り繕ってなんとか日々を生きていた。死にたいと毎日考えていた。ときどき、「自殺する」と癇癪を起こすこともあった。
現実の世界に、そして今ここにいる自分の欲望に向き合い始めたのは高校を卒業するくらいの頃からだった。
だから、『Kanon』をやったとき、
僕は、
真琴を……、
そうだ。
きっとこんな風に言われたかったんだ。
誰かに認めてもらいたかったんだ。
こんな風に思われたかったんだ。
僕は……。
真琴は……。
僕と真琴が欲しかったものは……。