20240123

大学を出るのはやっぱり怖い。労働者になってからどうやって自分の居場所を作っていいかわからない。仕事の力も人間関係的な力も、これからは高め続けていくしかない。あとは、その世界に飛び込む覚悟だけだ。

 

「ちろきしんは、どうしたいんだ?」

 

人生にとって重要な場面でこう問いかけられたことがある。僕はなんて答えたか、どうだったか。よく覚えていない。でも確かに、そこで大事な選択をした。

 

フタコイオルタナティブ』7話「双葉恋太郎最初の事件」は恋太郎の過去編で、双葉探偵事務所の初代である親父を亡くした時の話だ。探偵業を継ぐか否か、進路を決めかねた恋太郎の脳裏に何度も繰り返し親父の問いかけがリフレインする。

 

「どうすんだ?お前は?」

 

始めたばかりの探偵業につまずき、廃業を決意しかける恋太郎の頭には励ましの言葉が響いていた。

 

「結局、誰かが誰かの代わりになんてなれっこないのさ」

「あんたにはあんたらしく生きられる道があるさ」

 

でも、それでもその選択肢を恋太郎は捨て去る。「情けねえ情けねえ情けねえ!」と。

 

「どうすんだ?お前は?」

 

「先のことまではわかんねえけど、とりあえず、犬と戦うに決まってんだろうが!」と。悩むことをやめ、決断を下したのだ。

 

変わらない日常。変わらないクリスマスソング。変わらない、冬。激しくシケた大学生から、激しくシケた探偵へ。大して変わっちゃいない。ほんの少し、変わっただけだ。

 

恋太郎が語るように、決断を下したからと言って人は変わるわけじゃない。変わったのは決断に伴う責任を背負う覚悟だ。僕はあのとき、決断を下した。でも、何も変わっちゃいなかった。だから苦しい思いもしたし、人にたくさん迷惑もかけた。もう限界かと思ったこともあった。それでもその決断を信じてやってきてよかった。本当によかった。今はそう思う。