20240506

彼氏彼女の事情』のアニメを見ている。この前エヴァを見返していたのだが、思いのほかハマってしまい、その流れで見ることにしたのだった。

 

原作のあるアニメではあるが、必然的に庵野の存在を意識しながら見ることになる。どうしてこの作品を庵野が作ることになったのか、その理由にどうしても目が向いてしまう。

 

今は15話まで見たのだが、見るのが相当に苦痛を要する。叫びだしたくなって何もかもを壊したくなる。全ての人が憎く思える。

 

彼氏彼女の事情』で描かれているのは恋愛による"救済"である。男と女が出会い、互いに恋をし、人から真に認められ、真に求められ、真にこころを委ね、真に愛しあい、真に、真に、真に、真に、真に、真に……。

 

今、僕の心にその"ほんとう"はない。"ほんとう"だと信じたものは最後にはこの手からすり抜けていった。ああ、やっぱり……。"ほんとう"を諦めたい自分、"ほんとう"をまだ期待している自分、"ほんとう"を今の自分の中に探す自分、"ほんとう"なんて最初からなかったと言い聞かせる自分、いろんな自分が蠢いて闘争を繰り返し、それに疲れて日が過ぎる。

 

京都にいたほんのこの前までは、たしかに"ほんとう"に近づいていた感触があった。常に絆で結ばれた友人たちに囲まれ、交際相手と愛を確かめあっていた。でもそんな時間は僕がどんなに努力しようとすぐに壊れてしまうということに、うすうす気づいていて怯えてばかりいた。いや、今だって壊れないように頑張っている。でもその"ほんとう"は"えいえん"じゃ、きっとない。

 

会社にいると結婚したばかりの先輩の話をよく聞く。みなそこにあることが当たり前であるかのように"その人"の話をする。いや、友達にだってその"えいえん"を手に入れたものは大勢いる。

僕は"ほんとう"に"しあわせ"な関係を得ても、一度たりとも永遠だって信じられなかった。どんなに努力しても壊れてしまう関係なんじゃないかって疑いが最後まで晴れることはなく、やがてその懸念は現実になった。

 

彼氏彼女の事情』は、二人が"ほんとう"を"えいえん"にしていく過程をつぶさに描いていく。だから心が痛い。

「ふたりはまでしぬまでたがいをあいしあいました」

そんなことは書かれていない。でもきっとそうなんだろうって伝わってくる。それがしんどい。

しかしやがて、『彼氏彼女の事情』には目の前で"ほんとう"を搔っ攫われる"にんげん"たちも出てくる。否認して、抵抗して、勝ち目のない戦いを始め、自分のことが自分でもわからなくなって、最後には諦めていく、そんな"にんげん"たちの姿に視点が切り替わる。

"彼氏"と"彼女"のパートでは、俺もほんとうはこれが欲しかったんだと思った。自分にないことが辛くなった。そして得られなかったことに苦しむ人たちのパートでは、これは自分の姿だと思った。僕はどこがいけなかったんだろう。何を間違えたんだろう。きっとどこか悪かったに違いない。性格、気遣い、容姿、何もかも悪かったような気がしてくる。

 

僕はエヴァ(旧劇まで)を"えいえん"を求めて求めて求めてそれでも得られない"にんげん"たちの物語だと思っている。『彼氏彼女の事情』では"えいえん"を本当に手に入れた人を描くことで、より悲哀を描くことに成功しているわけだ。だから、EDには井上陽水の「夢の中へ」が採用されている。

 

探しものは何ですか?

見つけにくいものですか?

カバンの中もつくえの中も

探したけれど見つからないのに

まだまだ探す気ですか?

それより僕と踊りませんか?

夢の中へ 夢の中へ

行ってみたいと思いませんか?

 

今日、僕はこれを聴きながら本屋でぶらぶらしていた。

庵野もきっとずっと何かを探していたに違いない。

だからこの曲を好きになったんだなあなどと考えていた、その矢先。

www.evastore.jp

そんなことはわかっていたはずだった。

お待たせしました!『監督不行届』のその後
還暦を迎えた鬼才監督 夫・庵野秀明
日本一のオタ夫婦のおかしくも愛おしいディープな日常!

庵野秀明監督と結婚後、新婚生活を描いたエッセイコミック『監督不行届』。
本書は、『監督不行届』のその後をつづったエッセイ&コミックです。
庵野監督を描いたひとコマ漫画のほか、エヴァストアオンラインで連載していた1ページ漫画、庵野監督へのインタビューも収録。

裏切ったな! 僕の気持ちを裏切ったんだ!

「初めから自分の勘違い、勝手な思い込みに過ぎないのに?」

俺はこれしか望んでないのに! それなのに、どうしてお前らは!!

僕の気持ちが勘違いだとか思い込みだとかそんなのは関係ないんだ。

どうして? どうして? どうして? ああ、言葉にならない。とにかく、今、僕が言えることは……

 

 

"悲しい"

 

 

パイロットの反応が限りなくゼロに近づいていきます!」

 

So with sadaness in my heart

 

エヴァシリーズおよびジオフロント、E層を通過。なおも上昇中」

 

(I) feel the best thing

 

I could do

 

is end it all

 

and leave forever

 

「現在、高度22万キロ F層に突入」

 

what's done is done

 

it feels so bad

 

エヴァ全機、健在!」

 

what once was happy now is sad

 

リリスよりのアンチA.T.フィールド、さらに拡大! 物質化されます」

 

I'll never love again

 

My world is ending...